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【ゲーム業界】ソーシャルゲームから生まれた長所と短所【KPI】

はじめに

私はソーシャルゲームからゲーム業界に入って様々な経験をしました。そこで今回ソーシャルゲームについて解説します。数年前からガチャによる高額な課金が問題視され、社会問題にも発展していますが、ソーシャルゲームがもたらした長所や短所について個人的な意見を交えて考察していきます。

 

長所

ソーシャルゲームには色々な要素がありますが、個人的に一番の強みはKPIが取り入れられた事だと思います。

インターネットからKPIは発展し家庭用ゲーム機にも取り入れられる

ソーシャルゲームの発展はKPIをしっかり分析しゲーム業界では曖昧だった所も取り込んだ強みがありました。今ではゲーム業界全体でKPIを導入し、リリースや発売後の調整・次回作への要素を決めるのに使われるようになりました。

他にも様々な指標があり、これからゲーム業界に行きたい人やビジネスをする人なら読んでおいて損はないです。

KPIの取り入れと発展

KPIはKey Performance Indicatorsの略でソーシャルゲーム業界のプランナー系には必須に近いスキルです。KPIは様々な指標がありますが、ゲーム業界では主に以下が使われます。

DAU(Daily Active Users)

DAUとは、毎日アクティブになるユーザー数を示す指標です。ゲームの人気や利用頻度を測定するために使用されます。

主な利用方法として期間限定イベントを開催した時に被開催中との差分を比べたりする時に使用します。

MAU(Monthly Active Users)

MAUは、毎月アクティブになるユーザー数を示す指標です。DAUと同様、ゲームの人気や利用頻度を測定するために使用されます。

主な利用方法として継続しているユーザー数を確認できるので行った施策に対して継続的な効果が出ているか確認できます。

ARPPU(Average Revenue Per Paying User)、ARPU(Average Revenue Per User)

ARPPUは、支払いユーザーあたりの平均収益を示す指標です。ゲーム内で支払いを行うユーザーの収益力を測定するために使用されます。

ARPUは、1ユーザー辺りの支払い指標です。ARPPUの課金者のみを対象にした指標になります。

主な利用方法は目標設定に利用します。ARPPUは高いほど良しとする企業も多いです。ただARPPUではなくARPUが高い場合、課金疲れという用語もありARPUが高くなりすぎると翌月に反動が大きくなって離脱率が上がるなどのデメリットもあるのでガチャ施策の内容に合わせて目標設定に利用します。

Churn Rate(離脱率)

Churn Rateは、ユーザーの定期的な参加をやめる割合を示す指標です。ユーザーの定着度を測定するために使用されます。

主な利用方法は離脱ポイントを計測するときに使います。日々の離脱率にも利用しますが、プレイ開始3日をどれだけストレスフリーで楽しさを提供できるのかがゲーム寿命に大きく関係しています。チュートリアル~3日間でできる事で離脱ポイントを調べて判明すれば改善候補となります。

Retention Rate(継続率)

Retention Rateは、新規ユーザーがゲームに参加し続ける割合を示す指標です。ユーザーの定着度を測定するために使用されます。

主な利用方法は離脱率とほぼ同じです。違う所は1日、3日、30日という大きな区切り(厳密には7日や90日もあります)があり1日で離脱している場合はそもそも合わない、継続できないエラー等があります。3日は面白さでモチベの継続が出来なかったのでここで30%以下の場合は大改修の必要があります。30日で継続率が下がっている場合は交流ができなかったりイベントが物足りない事が多く、やることがなくなって辞めてしまう場合です。維持率はかなり重要なのでしっかり取るようにしましょう。

Session Length(セッション時間)

Session Lengthは、ユーザーがアプリ内で過ごす平均時間を示す指標です。ユーザーの活発度やユーザーエクスペリエンスを測定するために使用されます。

セッション時間はアプリになってから重要になりました。どれだけ自分たちのアプリを遊ばせるかを競っている時期もありましたが、最近変化があり過剰にセッション時間を求めるとユーザーは疲れてしまって離脱要素になってしまう事もわかりました。その為適切なセッション時間を考える事が重要になります。

 

短所

短所で有名なのはガチャでしょう。実際にガチャはソーシャルゲームの発展で大きな影響を与えています。一時期システムが全く同じで見た目だけ変えた作品が乱立したのもガチャで稼げるから、で毎月出すような会社もありました。

その影響かソーシャルゲーム出身者は面白さよりもビジネスとしての価値を重要と考え継続率を蔑ろにしやすい傾向があると思います。※データはないのであくまで私がこれまで会った人の傾向です。

ビジネスが顕著になったガチャの例

項目 金額
イラスト描画(1枚) 5万円~7万円
シナリオ・キャラ背景制作 3万円
1キャラクターの制作費(イラスト+シナリオ) 8万円 ~ 10万円
1イベントの3キャラクター追加費用 30万円
イベント実装の人件費(3人1週間拘束+サーバー等の経費) 70万円

これでも実装費用はかなり安く見積もっています。※イラスト等は全盛期の価格で後期になると150,000円とか普通になります。

そしてイベント期間中の利益が大体3000万だと仮定します(当時いた会社では当たったソシャゲは毎月数億単位の利益を出していたので安いかもしれません)

そこからプラットフォームに40%(携帯キャリア手数料込み)を引かれます。かかった費用100万円を引けば残りが純利益になります。3000万円の60%、1800万が会社に入り、経費として100万が計上。純利益は残りの1700万となります。

システム構築や開発もあるので最初から全額純利益とはなりませんが、見た目変えただけの物を作る会社が増える原因も納得できると思います。

ゲーム業界とソーシャルゲームの関係

ゲーム業界もビジネスで利益が出ないとゲームが作れなくなったり、開発しているゲームも資金不足で中途半端に出すしかなくなり、問題多数で全然売れないといった事も多くあります。

特にソーシャルゲームの上層部(またはお金を出す人)はとりあえずガチャを置いとけばいい、という判断も当たり前にする事も多くソーシャルゲーム業界からゲーム業界に来た人の結構な人数がゲームをしないという人もいるぐらいです。これはソーシャルゲーム全盛期にお金をばらまいて各社が様々な業界の人をヘッドハンティングした事にも起因していると思います。

ゲームの面白さが足りない状態で数をリリースし、その結果、面白さが不足しているソーシャルゲームは軒並みサービス終了し全盛期ほどの給料が出なくなってしまいやめていった人も多いでしょう。

 

終わりに

様々な要素からソーシャルゲーム業界は発展しレッドオーシャンを迎えました。個人的に一番よかったのはソーシャルゲームでそれまで狭き門だったゲーム業界の間口が大幅に広がった事でしょう。ソーシャルゲームでも開発経験自体は積めているので多くの人が新しくゲーム業界へ入る事が出来たので離脱せずチャンスを物に出来る人が増えれば、と思います。